福島大学様の事例紹介「起業ライト層にも届く動画コンテンツで、アントレプレナーシップ教育の裾野を拡大」
2026.1.5コンテンツ活用

同センターでは、福島県をはじめ東北地域の社会課題解決に向けた取り組みや人材育成を推進しており、学生や社会人を対象としたアントレプレナーシップ教育に注力されています。
この記事では、動画コンテンツ利用前の課題や、選定・実施プロセス、動画コンテンツがもたらした効果について、永井様からいただいた率直なご感想を紹介します。
| 課題・背景 | ・起業に興味がある学生だけでなく、ライト層にもアントレプレナーシップ教育を届けたい ・どのコンテンツが学生に響くのか、データをもとに把握したい ・大学全体でアントレプレナーシップ教育を展開するための準備を進めたい |
| 選定基準・ポイント | ・体系的に整理された豊富なコンテンツラインナップ ・学生が自主的に、隙間時間で学べる動画形式 ・教員の負担を軽減し、対面教育との住み分けが可能 |
| 成果 | ・これまで把握できなかった、起業に興味関心がある学生を顕在化できた ・上記のようなライト層に、アントレプレナーシップへの関心を広げることができた ・教育動画コンテンツとリアル授業が融合した、質の高い学びをイメージできた |
地域課題解決と起業支援を軸に、福島・東北の未来を創造
ー 国立大学法人 福島大学 地域未来デザインセンターの事業内容と組織について教えてください。
永井様
地域未来デザインセンターは、福島をはじめとした東北地方の地域課題の解決を担う組織です。起業家の教育や支援だけでなく、外部機関と協業したり、プロジェクトを起こしたりしながら、それらをベースに研究を行う社会課題解決型の外部連携組織という位置づけになります。
具体例を挙げますと、震災のダメージが大きかった浜通り地域に二つの拠点を持ち、一度消失してしまったコミュニティの再生支援を行っています。また、DXやスマートシティの文脈でデジタル技術を活用した課題解決、人流分析によるイベントの効果測定や賑わい作りなども行っています。学生の協力と教員の知見、民間企業や金融機関も含めた産学官金の連携で、さまざまな取り組みを進めています。
私自身は、民間企業や自治体関係の財団で働いた後、1年半前に福島大学に着任しました。最近は、従来のアカデミア出身の教員だけでなく、社会経験を積んだ実務家教員も増えており、私もその一人です。
ミッションは、いわゆる大学発ベンチャーや学生・教員の起業を支援することです。教育は別の先生が担当しており、そこから生まれた起業に関心のある学生をフォローするのが私の役割となっています。
「起業ライト層」への訴求とデータに基づく教育設計を目指して
ー アンファクの動画を利用するに至った背景や、当時の課題を教えてください
永井様
大きく三つの課題がありました。
一つ目は、もともと起業に興味がある学生だけでなく、ライト層にもアントレプレナーシップ教育を届けたいということです。起業に強い関心を持つ学生は自ら学びますが、まだ興味の薄い学生にどうリーチするかが課題でした。
二つ目は、どのようなテーマに学生が興味を持つのか、データをもとに把握することです。感覚ではなく、実際の受講状況から学生のニーズを可視化したいと考えていました。
三つ目は、大学全体で今後アントレプレナーシップ教育を展開していくための準備段階にあったということです。福島大学では二年後に学習カリキュラムが大幅に変わる予定で、アントレプレナーシップをベースにしたカリキュラムが多数導入される方向にあります。その前段階として、どのような教育が効果的なのか知見を得ておきたいと思っていました。
また、教員の負担軽減という観点もありました。基礎的な知識の習得は動画コンテンツに任せ、教員は対面でしかできない深い学びやワークショップに注力できる体制を作りたいと考えていました。
参加の敷居を下げ、学生ニーズを把握する実証実験として依頼
ー 今回ご依頼いただいた内容を教えてください
永井様
オンライン動画講座を活用して、学生が自由に学べる環境を提供したいと考えました。レポート提出などの義務を一切課さず、自分の好きな時間に、興味のあるテーマだけを選んで学べるようにする。そんなイメージを持っていました。
そこでアンファクの皆さんには、約1ヶ月間、学生が自由に動画コンテンツを視聴できる環境の提供を依頼しました。起業に対する興味関心が薄いライト層の学生も気軽に参加できるようにするためです。
一方で、学生のニーズを把握するという目的もありました。十の大きなコンテンツカテゴリーから学生自身に選ばせることで、本当に学生が知りたいのはIPOなのか、ビジネスプラン作成のスキルなのか、どの領域に関心があるのかをデータで可視化したいと考えていました。
教育効果もさることながら、学内マーケティングやユーザー層の開拓という実証実験的な側面もあったため、もしかすると少し変わった動画の使い方をお願いしたかもしれません。今回の取り組みには、大学の正規のアントレプレナーシップ講義に参加する母数を増やすための、入口としての役割を期待していました。
ー 動画コンテンツ選定のプロセスを教えてください
永井様
選定にあたっては、正規の授業よりも意図的に「内容の幅」を広げることを意識しました。アンファクは起業に関するコンテンツを豊富に持っているため、その利点を活かして学生のニーズを明らかにしようと考えたのです。
担当者の方と相談しながら、「アイデアを出すとは何か」「アントレプレナーシップとは」という入門的な内容から、正規授業では扱えないIPOのような専門的な内容まで、大きく振り幅を持たせる形で選定しました。
ー enfacからの提案に対して、率直にどう感じられましたか?
永井様
体系的に整理されたコンテンツの質の高さに驚きました。各動画が10分程度とコンパクトで、まるでYouTubeのような今どきの提供形式になっていたからです。私はてっきり90分程度の講義動画が並んでいるのかと思っていたので、ここまで細かく区切られているとは予想していませんでした。
この形式なら、電車の中や飲食店などでも、学生が隙間時間に学習できます。実際に、コーヒーショップで受講している学生を偶然見かけたこともあり、学生の生活スタイルに合わせた学習が実現できていると実感しました。
また、動画に出演する講師陣のキャリアを拝見すると、それぞれのテーマにおいて一流の方々ばかりで、正直、私が教えるよりも、動画の先生方にお任せした方が学生のためになると感じました(笑)
正規の授業では、リーンキャンバスやデザインシンキングといったフレームワークを教えても、時間的制約から通り一遍の情報提供になりがちで、学生が実際に経験したり、自分ゴトとして深めたりする時間がなかなか取れません。
そういった基礎知識の部分は、運転免許の更新講習のビデオのように動画で学んでもらい、対面では学生が間違いやすいところやワークショップなど、教員が直接関わった方が効果的な部分に集中する。今回の取り組みは、そういったハイブリッド型教育を実現するための予行練習としても意味がありました。
ー 実施までの準備において、特に印象に残っているやりとりや支援はありましたか?
永井様
アンファクの皆さんがスムーズにサポートしてくださったことが印象に残っています。コンテンツの選定から実装まで、こちらのニーズをしっかり理解した上で、適切な提案をいただけました。
特に、学生の自主性を重視した自由視聴形式の提案は的確でした。強制的に学ばせるのではなく、学生自身が興味を持って学べる環境を整えることが重要だと、改めて認識できました。
また今回は、1ヶ月30名の受講を3回という、少し特殊な運用をお願いしました。学生と教員では忙しいタイミングがずれるため、それぞれに合わせた受講期間を設定したかったのと、ライト層の獲得が目的なので、申し込んだけれど何も受講しないというケースをできるだけ減らしたかったのです。そのためIDとパスワードを発行する手間などで負担をかけたと思いますが、柔軟に対応していただき感謝しています。
学生の意欲が可視化、新しい教育システムの洞察を得る
ー 動画コンテンツを利用した学生や教員の方からの反応を教えてください
永井様
アンケートからはポジティブな反応をいただいています。学生や教員からは「自分のペースで学べてよかった」「基礎知識が体系的に理解できた」といった声がありました。
また、アクセスログを分析することで、どのコンテンツが人気なのか、どの時間帯に視聴されているのかも把握できました。中でも興味深い発見がありました。今回はライト層が対象だったため、アイディエーション関連のコンテンツが非常に人気でした。課題を見つけることや、その課題を解決するためにどうしたらいいのかというところは、やはり皆が気になるところなのだと分かりました。
一方で、アイディエーションは動画を見ているだけでは未消化の部分があります。「では実際に、いろいろ考えて提案してみよう」といったインタラクションがやはり必要なので、そこは教員が学生と関わりながら補完が必要な部分だと思いました。
IPOなどの専門的なコンテンツを受講している学生層が明確に可視化できたことも大きな成果です。この層は起業への本気度が高く、今後の支援活動の重点対象として把握できました。
ー 今回の取り組み全体を振り返って、最も良かった点は何でしたか?
永井様
得られた成果は三つあります。
一つ目は、当初想定していたライト層を学内から発掘できたことです。もともと起業に強い関心がなかった学生も、気軽に動画を視聴することで、アントレプレナーシップへの興味の入口に立つことができました。裾野を広げるという意味で、非常に効果的だったと思います。
二つ目は、学生の起業意欲をデータで可視化できたことです。特定のコンテンツを受講している学生は起業への本気度が高いことが明確になり、今後の支援活動の指標として活用できます。
三つ目は、新しい教育システムに関する洞察を得られたことです。当初の目的であったライト層の獲得やデータ収集だけでなく、オンライン学習コンテンツと対面授業を組み合わせた「ハイブリッド型教育」の可能性を実感できました。
将来的に、アンファクのような動画コンテンツと自分の授業をハイブリッドで行う先生が増えてきたら、もっと面白くなると思います。例えば夏休みなどの長期休暇中にも、こうした学習カリキュラムを提供できることは、教育機関としての魅力の一つになるのではないでしょうか。
動画と対面のハイブリッド型教育で、地域の未来を担う人材を育成
ー 最後に、次年度のプロジェクトなど、地域未来デザインセンターとして今後取り組んでいきたいことや、展望をお聞かせください
永井様
福島大学では二年後に学習カリキュラムが大幅に変わり、アントレプレナーシップをベースにしたカリキュラムが多数導入される予定です。今回の動画コンテンツの内容は、その先取りとして学生に提供できましたし、二年後に向けた貴重な知見を得ることができました。
今後は、動画コンテンツと対面教育のハイブリッド型をさらに発展させたいと考えています。必ずしもすべての教員がアントレプレナーシップに詳しいわけではないので、既存の学びのデータベースを活用しながら、各教員が自分の得意な領域や切り口で編集して提供できる仕組みを作りたいですね。
そして何より重要なのは、学んだことを地域での実践活動につなげることです。地域未来デザインセンターでは、学生と一緒に福島の地方の村などに行き、地元の方々と対話しながら課題を見つける学習も行っています。
今回のカリキュラムと福島大学の良さがシナジーを起こすことで、福島や東北の状況を変えていけたら面白いと思います。学生たちが学んだアントレプレナーシップの知識を、地域課題の解決という実践の場で活かし、成果を出していく。そのサイクルを作り上げることが、地域未来デザインセンターの役割だと考えています。
Other Achievement
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